Projection / Budget
-事業計画・予算策定の基礎知識-
事業計画・予算策定の基礎知識
事業計画・予算は、企業(店舗)の売上や利益等の数値目標達成のために作成されます。
策定目的によって策定方法や対象期間が異なりますが、一般的には中長期的な事業計画をはじめとして年間予算、月次予算までより詳細に内訳を作り込んでいき、具体的な個々人の日々の行動計画まで落とし込んでいきます。
ここでは事業計画・予算の利用場面と策定方法の基礎を、順を追って解説していきます。
なお、下記では説明簡略化のため費用科目は「固定費」「変動費」の2区分で表記していますが、実際の事業計画・予算策定時には「人件費(スタイリスト・固定給)」や「広告宣伝費」、「地代家賃」など、より詳細に設定する必要があります。そうすることで計画達成に向けた具体的な行動計画や改善課題が明確になります。
中長期的な事業計画
想定される利用場面:開業時や新たな事業戦略の設定時に3年~5年後の将来像を踏まえた目標値を策定する
(※)銀行からの借入時に必要となる事業計画書(当該借入金を用いて店舗の立ち上げや設備投資等を行った場合の将来シミュレーション)は、単なる理想像ではなく客観的事実や合理的な根拠に基づき作成する必要があります。
中長期的な事業計画は、3~5年後に目指すべき姿を数値に落とし込んだ理想目標としての意味合いを持つことが多いです。
例えば、まず最初に中長期的な理想像として以下のような目標を掲げます。
◆ 4年後に2店舗目を出店し、売上及び利益が直近実績の2.5倍
そして、4年後の目標を達成するためには、3年後、2年後、1年後にどの程度の売上・利益を達成しておくべきか設定していきます。下記図では、2年後に売上1.5倍、利益1.75倍を達成すべきであると設定しています。
大きな目標を設定した後は、より具体的な数値設定、行動計画を策定する必要があります。
売上・利益を達成するために必要な顧客数、顧客単価、施術時間、スタイリスト数、アシスタント数、販売促進活動等を詳細に検討していき、年間予算・月次予算まで落とし込んで目標が現実的かどうか検証していきます。(目標が現実的ではない場合は、再度目標設定から同じ手順を繰り返し検討します)
なお、開業時においては実績数値がないため、前サロンから新店舗に移動予定の顧客数、同規模の競合店や、過去の施術実績等を参考に目標値を設定します。
年間予算
想定される利用場面: 中長期的な事業計画達成のためのマイルストーンとして、毎期達成すべき予算を策定する
中長期的な事業計画を達成するためには、タイムリーに計画の達成度合いを確認し、必要に応じて経営を軌道修正していく必要があります。
そのため、3~5年の中長期的な事業計画を1年単位の年間予算に分割し、具体的な行動計画や各店舗・個々人の目標値まで詳細に落とし込んだ上で1年単位で予算実績差異分析を行います。その結果、差異のある項目については要因を把握して改善策を実行します。
月次予算
想定される利用場面:月次実績(月次試算表)と比較することで早期に経営を軌道修正するために策定する
予算と実績の比較分析を1年に1回しか実施しない場合、1ヵ月経過時点、3ヵ月経過時点、半年経過時点などで、年間予算通りに順調に進んでいるのかどうかの途中経過が全く分かりません。仮に順調に進んでいない場合は、年間予算が達成できないばかりか損失が1年後に取り返しのつかないほどに膨らんでいる可能性もあります。
そのため、必要に応じて早期に経営を軌道修正していくために年間予算を月次に分割する形で(単純な12分割ではなく繁忙期等の季節的変動も考慮して)月次予算を策定し、月次試算表と比較して差異分析を行う必要があります。